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特殊な遺伝子をネズミの筋肉に組み込んで筋力を倍増させる実験に、米ペンシルベニア大の研究チームが成功した。安全性を確認したうえで、数年後には人体にも応用できる見通しという。16日、米科学振興協会(AAAS)の年次総会で発表した。スポーツ選手がこうした「遺伝子ドーピング」を試みた場合、検査で発見するのは至難の業だ。研究チームは、医療現場で試みられている各種の遺伝子治療の手法を応用し、成長因子の一種の遺伝子をウイルスに組み込んでネズミの筋肉に感染させた。ネズミの筋肉は15〜30%も太くなり、筋力が倍増していたという。
同チームのスウィーニー博士は「今回の実験は、老化による筋力の衰えや筋ジストロフィーなどに対処する方法を探るのが目的だが、スポーツ選手の競技能力向上のために使われる可能性もある」と話した。トレーナーや選手らから問い合わせが増えているという。
03年に発効した国際オリンピック委員会などの新ルールでは、「遺伝子ドーピング」が禁止された。しかし、筋肉に遺伝子を組み込んだ場合、薬物ドーピングとは違い、血液検査や尿検査で見分けるのは困難だ。スウィーニー博士は「筋肉の一部を取り出して遺伝子を検査しない限り発見できない」と説明した。 (02/17)
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