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小学校教諭に求められる「体育力」 採用試験で実技多彩 asahi.com
小学校の先生になるには、水泳に、鉄棒に、跳び箱も――。教員採用試験で、体力や運動能力を測る実技テストが重みを増している。型にはまった動きにとどまらず、「体を動かす楽しさを教える力」を見ようと工夫を凝らす自治体も出てきた。11日は体育の日。実技のメニューから、いま、先生に求められる「体育力」を見る。2分間。軽快な音楽に合わせ、両手を振り、思いきりジャンプし、受験者は工夫して全身を動かす。
大阪府は小学校教員試験に「体つくり運動」を採り入れている。昨年から、従来の跳び箱など器械運動に代え、新たに導入した。水泳(25メートル)と並び、体育実技の柱になっている。「体を動かすことの楽しさなどを子どもの興味を引いて上手に教えられるかを見たい」(府教委)。全体の構成、動作などが採点対象だが、いい点数を取るため、試験の直前に対策講座を開く大学もある。
青森県の試験でも昨年から「表現運動」が新たに加わった。受験者は、その場で示されるテーマ(「忍者」「宇宙探検」など)から浮かぶイメージを、全身の動きで表す。小学校教員の試験で実技テストが増え始めたのは70年代の半ばから。ペーパーテスト重視を改め、指導力を多角的に見るねらいだ。実技の中心は水泳。小学校ではプール指導があり、総合学習などで水辺に子どもを引率する時間も多い。ある程度泳ぐ力があることは、教員の必須条件だ。文部科学省によると、全国の約9割、44都道府県が水泳のテストをしている。水泳の距離は25メートル(山形県、東京都、岐阜県など)、50メートル(滋賀県、宮崎県など)の二つに分かれる。和歌山県は往路・平泳ぎ、復路・それ以外、という指定で計50メートル泳がせる。千葉県は、25メートルを2回、それぞれ別の、自分の得意な泳法で泳がせる。水泳実技を課さない県の場合は、出願時に、どれだけ泳げるかを自己申告させるなどして泳ぐ力をチェックしている。水泳以外では、採用試験に体力テストや器械運動、ボール運動を課す例が多い。
持久走を課しているのは佐賀県。男性は1200メートルを6分以内、女性は800メートルを5分以内という目標タイムを設定している。「体育授業から運動会まで、とくに小学校では走る場面が多い。子どもと一緒に走る力が身についているかを確かめる」と県教委。
埼玉県の1次試験には、縄跳びがある。縄跳び運動が盛んな土地柄を反映し、約20年前から続く「名物」試験だ。受験者は4分間、ひたすら跳び続ける。試験官は、途中、何回ひっかかったかなどを見る。2次試験では水泳(50メートル)、鉄棒運動の実技テストが待ち構える。 (2004 10 11)
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