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激しい運動をすると、脳内の糖消費が増加すると考えられていたが、実は逆に減少することが、東北大学とトゥルク大(フィンランド)の研究でわかった。体温や呼吸など様々な機能を維持するために脳の働きは活発になるが、糖に代わり、乳酸をエネルギー源として活用するらしい。
研究者らは「運動をすると、脳が糖の節約方法を覚え、長時間働き続ける“持久力”が増すのではないか」と推測、英生理学誌8月号に発表する。東北大高等教育開発推進センターの藤本敏彦講師らが、健康な男性14人に約1時間、自転車をこいでもらい、終了後、陽電子放射断層撮影(PET)装置で脳内の糖の消費量を測定した。〈1〉軽い〈2〉中程度〈3〉激しい――の3種類のこぎ方を、別々の日に実験した。
その結果、糖の消費量は運動が激しいほど少なく、「激しい」時は「軽い」時より32%も低かった。また、運動習慣のある7人の糖消費量は、習慣のない7人の約半分に過ぎなかった。脳内の血糖が不足すると、思考能力が鈍り、体温調節など身体機能の低下にもつながる。別の研究で最近、乳酸も脳のエネルギー源となることが分かっており、藤本講師は「運動は、糖の節約と乳酸の利用によって、筋肉だけでなく脳の持久力も鍛えている」と話している。(2005年8月19日3時3分 読売新聞)
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