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脳で学習機能が働くには、体内で糖分の消費や貯蔵にかかわるインスリンが欠かせないらしいことを、飯野雄一・東京大助教授(行動遺伝学)らの研究グループが、動物実験で示した。7日付の米医学誌ニューロンで発表した。将来、認知症の治療などに役立つ可能性もあるという。
飯野さんらは、土の中で細菌を食べる体長1ミリほどの線虫が通常、細菌のいるところに多い食塩を、えさ探しの手がかりの一つにしていることに着目。えさの細菌なしに食塩だけを与え続けると、「学習」して食塩には寄りつかなくなることを確かめた。一方、遺伝子操作でインスリンを作れなくした線虫に同じ実験をすると、変わらず食塩に集まり続けた。どちらも学習に関係する中枢神経そのものは問題なく働いていることを確かめ、「学習に、インスリンが必要であることがわかった」とした。実験には、約10万匹の線虫を使ったという。
インスリンは、糖代謝を制御するホルモンの一種。人間では膵臓(すいぞう)でつくられ、血液を通じて全身に送られて筋肉などにぶどう糖を送り込む。分泌が悪くなると血糖値が上がり、糖尿病の原因となることが知られている。少量だが脳でも作られており、インスリンと結合する受容体も脳に広く存在している。 飯野さんは「今回の発見を糸口にして、人間の脳でのインスリンの働きが明らかになれば、将来、認知症や記憶障害などの治療に役立つ可能性があるのではないか」と言っている。 2006年09月07日 http://www.asahi.com/science/news/TKY200609070086.html
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